イレギュラーウィンター
2022

これまで書いたもので恐らく最も良いので自費で出版する予定です。 イレギュラーウィンターなので、冬に出せたらなと思っています。ティーザーとして第1章「遠く離れ澄んで」の昔の稿を公開します。 昔の稿なので、完成版とどれくらい違うかはっきり記憶してませんし、あまり読み返す気にならないので(カッコいいですよね)、誤字もあるかもしれませんが、ご勘弁ください。完成版を出版する時はしっかり見ていきます。 冒頭は同タイトル「遠く離れ澄んで」としてオカワダアキナさん主宰のアンソロジー「BALM 青」に収録されていますが、あちらは短編用に改造しておりまたちょっと違います。 「誰も死んではいない! と高らかに宣言――二人も赤のファンタをごくごく飲んでいた。」そういうシーンがあるけれど「これ以上誰も死なせない、そのために生きる」という強い意志が僕がこれを書いた理由です。 2023年 7月 08日
第1章 1話
第一章 遠く離れ、澄んで 1 かの女は大学を卒業して北部へ越していった。結局は厳しい父親とうまくやれなかったらしい。「バンコクに残……
第1章 2話
第一章 遠く離れ、澄んで 2 カーテン越しに時間の過ぎていく様を見続けることは虫の一生を観察することに似ていた。隙間から差し込む光……
第1章 3話
第一章 遠く離れ、澄んで 3 去年の夢について、僕は忘れてしまったわけではなかった。ヴシィーヌと酒を飲んだ晩、僕はアルコールのせい……
第2章 1話
第二章 電飾や人だかりの足元に落ちて光る鱗 1 確かに人は少しずつ僕の前に現れ出した、ノックケーオの言った通りだ。二月の中旬、農……
第2章 2話
第二章 電飾や人だかりの足元に落ちて光る鱗 2 農業祭で学内は人で溢れていた。新作のトラクターや、珍しい品種の苗がテントの中に並……